その1 線画について

まず技術的な話の前に、私がどのような環境でCGを描いているのかご紹介しておきます。

写真にあるのが、少なくとも当ブログを作成するために使用している機材のすべてです。
PCはノートPCで、スペック的にはOSがWindows7、CPUは2.2GHz、RAM1G、HDD145GBです。
これに、ペンタブレットをつないで使用しています。
なお、CG描きに使用するソフトウェアは、以前にもふれましたがPhotoshopを使っています。
※Photoshopは新しいバージョンのものもありますが、馴染んでいるため古いver.5を愛用しています。

で、いよいよCG描きです。
今日のテーマは線画となりますが、私自身、線画は大きく2通りの方法で描いています。
「自分の手で普通に絵を描く」パターンと、「元絵をある程度トレースする」パターンです。


例えば、1枚絵を描く時は前者です。やはりこちらが王道ですから。
しかし、当ブログで展開しているGIFアニは別。普通に手描きなどしていたら、軸線やキャラ位置がずれてしまってアニメーションになりません。そのため、GIFアニ作成の場合は、キャラ位置や大まかな線をトレースしてしまいます。

今回取り扱うのはイラストなので、手描きします。
自分の絵をPCに取り込んで線画にする方法はいくつかありますが、スキャナを使わない想定であれば、次のような流れで一応は取り込めます。

1.適当な紙に下絵を描く
2.デジカメで完成した下絵を写す
3.デジカメの画像データをPCに取り込む
4.Photoshopで画像を開き、チャンネルというものを使って線部分のみ取り出し保存する
5.Photoshopで新しいレイヤーを作り、保存した線部分のチャンネルを読み出す
6.読み出した線部分を塗りつぶしツールで塗る

と、大まかな手順をご紹介しましたが、普段馴染みのない方は全く意味不明だと思います。
でも大丈夫。実際にはさほど難しいことはやっておらず、Photoshopが高性能なため線画は簡単に作れます。

上記のような流れで、まずは線画が完成します。
この段階でのポイントは、「大きく描くこと」です。具体的には線画を作成する際に用意するキャンバスを、幅3000ピクセル程度の大きさにします。
先ほどご紹介した私の作業環境で、PCに描き中の絵がありますが、あのくらいの大きさで描くというイメージです。
かなり大きな絵を描いて、それをPhotoshopなどの高性能ソフトで小さくすると、非常に密度の濃い美しい絵になります。
人に公開する類の絵を描く場合、このことは非常に重要なので、是非覚えておいてくださいね。

なお、線画作成時には、特別な理由がない限り、黒で線を塗りつぶさないようにしてください。
主線が黒だと強すぎます。
通常は濃いグレーを基本とし、肌部分などはこげ茶を使うとバランスが取れると思います。

 

 

 

 

その2 瞳の描き込みと彩色

瞳の描き込みと彩色について説明してみたいと思います。
この辺の順序は、正直描き手によってさまざまなパターンがあると思いますが、私の場合、線画の仕上げに瞳を描きつつ、彩色までしてしまうのがパターンとなります。

キャラCGにおいて、瞳は出来を左右する最重要パーツなので、慎重かつ気合いを入れてかかります。
ポイントは、Photoshopのレイヤー機能を活用し、瞳を構成する一色毎にレイヤーを1枚づつ重ねる方法で、多重階層にすることかと思います。

穂乃果を例にとり、具体的に説明すると…

1 瞳のベースとなる黒で縁を描く
2 瞳下部の明るい水色部を重ねたレイヤー上で彩色
3 瞳上部の暗い青色部を重ねたレイヤー上で彩色
4 瞳中央に黒色で瞳孔を描く
5 瞳下部の水色部の上に更に明るい水色を乗せる
6 5で彩色した水色の上にレイヤーを重ね白の曲線を描く
7 新たなレイヤーを重ね瞳全体にかかる大きさで濃紺の円を適当に彩色、さらにこのレイヤーの不透明度を30%程度に下げる
8 新たなレイヤーを重ね白の円状に光の反射を描く

と、以上が瞳の彩色手順(私の場合)です。
ちなみに、彩色においてはPhotoshopの場合、エアブラシツールで行うのが瞳特有のボケ味が表現されるので、オススメです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その3 肌の彩色

肌の彩色について説明していきます。

肌や髪といった、非常に面積の大きい主要パーツの場合、塗りの技術というより、むしろ大事なことは色の選択かなと思います。
シーンによって、多少振れ幅はあるものの、皆さんもご存知のように、キャラ達はそれぞれに色指定があり、同じ肌色でも微妙にことなる肌色であるケースも少なくありません。
明るい肌色のキャラに、暗い肌色を塗ってしまうと、それだけで違和感が出てしまいますよね。
そのため、私は本物から色を貰うようにしています。

具体的には、Photoshopのスポイトツールを使い、オリジナルから色をサンプリングするのです。
ここでのポイントは、どこから色をサンプリングするか?です。
ラブライブ!で言えば、本編のシーンから取ることも出来ますし、スクフェスのカードから取ることも出来るわけですが、私は極力、本編から取ることを避けています。
というのも、テレビ画面自体が発光することを勘案してか、本編から色を取ると微妙にくすんだ色になりがちだからです。
よって、最近の私のCGでは、スクフェスのカードから色をサンプリングしています。

肌色だけではなく、髪にも同じことが言えますね。

塗り作業そのものは、実のところ、あまり説明すべきことはありません。
丁寧に一色づつレイヤーを重ねながら、塗り分けるだけです。
敢えて言うなら、塗る際の順番は、薄い色から濃い色へと規則的に塗ることでしょうか。
もちろん、濃い色から薄い色へと塗ってもよく、要は塗り漏れなどを避けるために、規則的に塗れれば問題ありません。

最後に、言うまでもないですが、ラブライブ!では顔のチークと脚のヒザに、ビンクの差し色が入ります。
これで可愛らしさや、若々しさが表現されていますので、忘れないようにしましょうね。

 

 

 

 

 

 

 

その4 髪の彩色

髪の彩色についての説明を初めます。
まずは色の選択ですが、ここでのポイントは、肌の時同様に色を本物の素材からサンプリングすることです。
私の場合は、スクフェスのカードから取っています。
塗る順序については、影になっている濃い色を先に塗った後、明るい色を塗るというのが、私なりの定番となっています。理由はなんというほどでもないのですが、双方の色が接する部分は、やはりはみ出さないよう気を使いますので、通常は比率の小さい影部分の方が、いくらか塗るのも楽だからです。
また、既にご理解いただいていると思いますが、Photoshopをお使いの場合には、レイヤーを分けて下さいね。

 

 



今日のご説明は以上なのですが、最後にPhotoshopについて書いておきます。
Adobe社の誇るPhotoshopは、世界的に有名なPhotoレタッチソフトであり、アニメのセル塗り同様の作業が、PC上で出来ることから、多くのCG描きに愛用されています。
これからCGを描きたいという方は、是非とも入手して欲しいソフトウェアですが、現在、Adobe社がサーバー整理の関係で旧バージョンながら、無料ダウンロードを認めています。
興味のある方は、検索してみて下さいね。

 

 

 

 

 

 

 

その5 復習その1

これまでの数回で、一応は線画おこしから、顔を中心とした色塗りの基本をご説明しました。
まだ身体の塗りについて、具体的な説明をしているわけではありませんが、これまでに説明した顔まわりが理解できていれば、身体の塗りはその応用に過ぎません。
それ程までに、顔の塗りは大事な内容が凝縮されていると言えるのです。

そこで今回は、雪穂の塗りプロセスを追いながら、塗りのポイントをおさらいしておきましょう。

1 瞳の塗りについて
 ここでのポイントは、瞳を構成する色の数だけレイヤーを分けて、フチ、瞳上下、瞳孔などを塗り分けることと、エアブラシツールを使用し深みを出すことです。

2 肌の塗りについて
 ここでのポイントは、オリジナル素材から色をサンプリングして塗るということ。

3 髪の塗りについて
 ここでのポイントは、肌同様に、オリジナル素材から色をサンプリングして塗るということ。
 レイヤーを分けつつ、影部分の暗い色から塗っていくということです。

4 全体を通じてのポイント
 線画段階で、出来るだけ大きなキャンバスを作り、大きく描いた後に小さく縮小することで、密度の高い美しい画像を作ることが可能となります。

ごく簡単にまとめると、これまでのポイントは、上記のようなものとなります。
試すことの出来る環境にある方は、是非一度実践してみて下さい。
感覚的に覚えてしまえば、後は非常に楽になりますので。

 

 

 

 

 

 


 

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